「ぶた にく」

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震災直後から、太平洋沿岸部600Kに渡る被災地を訪れて、現地の状況を写真に撮り、伝え続けている写真家の大西暢夫(おおにしのぶお)さん。
ちょうど一年ほど前、長野市災害ボランティアセンター主催の報告会で長野市を訪れた折り、知人を介してマゼコゼにもお寄り頂いた。
私はたしかあの時、仕事で岩手に出かけていて、大西さんご本人とは会えなかったけれど、妻へと手渡して頂いた、2011年5月から2カ月にわたり岐阜新聞に連載された記事をまとめた一冊の本、「東北沿岸600km 震災報告」を目にした時、この人の目線好きだな…と思ったことを覚えている。

…僕はカメラマンとしての役割を考え、今の行動を選択した。岐阜から出発し、岐阜で発信することに意義を感じていた。現場に行けば涙を流す現実しかない。見た事実を伝えていきたいが、何もかもが巨大で語りつくすことなど到底できない。その悔しさやもどかしさが常にしこりとして残った。 でも僕は遠くに暮らす人に、少しでも知ってもらいたかった。それはメディアに関わるカメラマンとしての仕事だと思った。…(東北沿岸600km 震災報告 本文から抜粋)

妻が図書館から本を借りてきた。今回は9冊…そのうち8冊は韓国の作家による絵本。もう一冊が、『ぶた にく』大西 暢夫 (写真・文) だった。
妻の勘…彼女の「いまここ」を感じる感覚に驚かされることは多いけれど、今回の絵本の選択は、いまの自分が感じている「いま ここ」と呼応し、とてもしっくりきた。

その夜、妻・自分・娘 それぞれが、『ぶた にく』を読んだ…見た。

マハトマ・ガンジーが残したたくさんの言葉の中の一つ。

「国の偉大さ、道徳的発展は、その国における動物の扱い方で判る。」
“The greatness of a nation and its moral progress can be judged by the way its animals are treated.”

日本国内で殺処分される犬は年間約10万頭、猫は約24万頭に上り、あわせて30万頭を超えるという。
長野県内でのニホンジカをはじめとする野生鳥獣による農林業被害額は、年間16億円に及ぶそうだ。

桜も梅も杏もカタクリも…一斉に咲き始める長野の春。
即席ダンボールシェルターから出て行ったあの猫…いま頃どこで昼寝しているのだろう。

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