「1980」

1980年代という時代
その時代は自分のその後の生き方を決定付けた大切な時代だ。

1981年、アメリカのロサンゼルスに住む同性愛男性に初めてエイズが発見された。いまでこそ病原体としてHIVが同定されたことによって、異性間性行為による感染や出産時の母子感染も起こり得ることが知られるようになり、エイズは広く一般的な問題として受け止められてはいるものの、1980年代初頭には、感染者にゲイや麻薬の常習者が多かったことから感染者に対する社会的な偏見が横行していた。

いまだこうした社会的偏見が無くなってはいないし、それが1980年代になって突如として表われたわけでは無い。
それはエイズが発見されるそのずっとずっと以前から…人間がこの世にあらわれた時からずっと…私たちの心の奥底に潜んでいるそれは私たち人間の心の奥底に潜みつつ虎視眈眈と獲物を探し続け生き続けてきた。
そうした何かを私たちの誰しもが心の奥底に抱え持っていると考えると、なるほど、
Artなんてものがどうしてこの世にあり続けるのかも少しはわかる。
そうした心の闇を抱え持っているのが人間だとして、その心の闇に潜む何かとどう対峙するのか…。
それこそが私たちがこの世を生きる上で極めて重要…必要なことなのだろう。

いずれにせよ、そんな「心」を持った人間という本質に対して目を背けることなく、自分をつうじて人間の本質を曝け出し、その姿を社会に対して示し続けることで自分を…そして人間を愛する生き方を選んだ人々が生きた時代…それが1980年代という時代だったのではないか…と私は思っている。

校内暴力やいじめが陰湿化 暴力化し、聖子ちゃんカットやロングスカートが流行し、不良がブームとなり、アングラ演劇や小劇団が市民権を得て小劇場ブームが起こり、アダルトビデオが登場しポルノ映画が衰退し、アントニオ猪木と新日本プロレスが全盛期を迎え、天安門事件によって中国は…世界は新たな方向に向かって舵をとり、超低金利政策によるバブル景気によって大都市圏で地価が極端に急上昇 株価が急上昇し、日本の少子化は深刻化しはじめた1980年代…。

東京という大都会に暮らし始めて間もない頃に観た
DerekJarman「The Last of England」
DerekJarmanを知ろうとしていた自分にはあまりにもDerekJarmanは広すぎた。

それから10年以上が過ぎて…
1999年 私と妻は、古い木造の小さな家を借りた。
DerekJarmanを思い出した。
PlanterCottage と名付けたその家は、しだいに植物に覆われる家へと変わっていった。

DerekJarmanが晩年をすごしたProspect Cottageの南側の壁には、16世紀に生きたイギリスの詩人 John Donne(ジョン ダン)の詩…The Sun Risingが貼られている。

Busie old foole, unruly Sunne,
Why dost thou thus,
Through windows, and through curtains call on us?
Must to thy motions lovers’ seasons run?
Sawcy pedantique wretch, go chide
Late school boys and sowre prentices,
Go tell court-huntsmen that the king will ride,
Call country ants to harvest offices,
Love, all alike, no season knows nor cryme,
Nor hours, days, moneths, which are the rags of time….

Thou, sunne, art half as happy as we,
In that the world’s contracted thus.
Thine age asks ease, and since thy duties bee
To warm the world, that’s done in warming us.
Shine here to us, and thou art everywhere;
This bed thy center is, these walls thy sphere.

せっかちなオヤジ がさつ者の太陽よ
どうしてそう気ぜわしく
窓のカーテン越しに僕らのことを伺うのだ?
恋の営みもお前の歩調に合わせろというのか?
助平なエロオヤジめ
怠け者の子供たちでも叱っていろ
鷹匠たちに王様のお出ましだと伝えろ
百姓たちをさっさと仕事に駆り立てろ
僕らの恋の営みには季節も陽気も
時間も月日も 時の歩みは関係ない

太陽よ お前の幸せは僕らの半分ほど
世界とはそういうものなのだ
年老いたお前の勤めは世界を暖めること
だから僕らのことも暖めるのだ
僕らに輝きかければ お前はどこにでもいられる
このベッドがお前の中心 この壁がお前の領分

訳:壺齋散人

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