「元素」

レアメタルは、地球上に存在する希少な非鉄金属全般を指す総称。
構造材料へ添加して強度を増したり錆びにくくしたり、発光ダイオードや電池・永久磁石などの電子・磁石材料や光触媒、ニューガラスなどの機能性向上材とする等々、その用途は多岐に渡り、私たちが生きる現代社会を維持させるために極めて重要な元素と言える。
レアメタルのうち、スカンジウム、イットリウム、そして元素記号表のランタンからルテチウムまでの連続する17元素は、希土類元素または「レアアース」と呼ばれ、「ネオジム」や「ジスプロシウム」は、強力な永久磁石をつくるために、固体レーザーやカラーテレビの蛍光体には、「イットリウム」が使われている。
こうしたレアアースの世界需要の約半分を日本が占めているとも言われているが、その大部分は現在、世界産出量の97%以上を占める中国からの輸入に頼っているのだそうだ。

エネルギーや資源が需要の増大に対して供給不足に陥り、社会不安を招く恐れのある状況を「資源リスク」と呼ぶそうだが、資源リスクを招く大きな要因は、全世界レベルでの経済の急速な拡大傾向。そして、その背景には、グリーンニューディール政策など…地球温暖化、世界金融危機、石油資源枯渇に対する一連の政策提言に連なる、エコ・イノベーション新技術への過度な期待感があるとも言えそうだ。

新エネルギー導入促進に伴うレアメタル需要(2009.11 金属資源レポート)
http://mric.jogmec.go.jp/public/kogyojoho/2009-11/MRv39n4-14.pdf

私たちが生きる社会が持続可能であることをイメージすることは欠かせない。
しかし、生物と環境の間の相互作用=生物と環境の相互持続可能性…である、生態学用語である「エコロジー(Ecology)」と、既存の市場や産業とは異なる“新しい市場と新しい産業を創出する”「イノベーション(Innovation)」という経済用語を一つの言葉として結合させるためには、極めて慎重な検討が必要であったはずだと私は思う…。
しかし、そもそも、世界金融危機問題や石油資源枯渇問題を招いたのは、経済至上主義の行き詰まり…ようするに世界経済という大食漢の餌不足であり、その空腹を満たすために、未だ食料が残っている生体地域に目を向けたということ…新しい市場や新しい産業の創出の場を広げようとするという思考性は、餌の無くなった経済がまだ餌の残っている生体地域を食い荒らすということだ。
このままで行けば、遅かれ早かれ、やがてまた同じ行き詰まりに到達するのは明らかで、やがては、人類は壊滅するのも致し方の無いことなのかもしれない。
そうした中、日本のエコ・イノベーションがいま最も注目するのが、再生可能エネルギーというエコロジー…そこにイノベーションを見出そうとしている。

とは言え、既に私たちの暮らしにとっての必需品と化した、インターネットや携帯電話…が単純に世界を悪化させているとは言えない…インターネットや携帯電話によって、世界中の数えきれない生命が救われ続けている。
でもしかし、レアメタルやレアアースの産出国には、劣悪な労働を強いられる人々がいる…利権をめぐり、紛争が起き、女性や、子どもへの虐待が続く。
大地は汚染され、人が住めない土地が広がり続けている。
…そうしたいま、そうした人々と同じ地球上に私たちが生きているのが事実なのだ。
私たちが携帯電話を手に友達と話せるのは、目には見えないそうしたいまがあるから…。

そして残念ながら…
3・11、そして福島第一原発事故は、エコ・イノベーションを大きく加速させる力となってしまっている。
私たちは、希少な金属に頼りすぎた、極めて危うい社会に生きている。

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