「匂い」

今年1月、雪が積もった森の中で風倒木を片付けつつ、来シーズンの薪にしようと玉切りまではしたものの力尽き、搬出できないまま、森に放置しっぱなしで自然乾燥させてしまった薪を引張り出しに、森へ。

曇り空、時折ひらひらと舞い落ちる雪に、ほんの少しだけ冬を感じはするものの、山の北側の川沿いの細長い森は、秋の終わり特有の、濡れた落ち葉と土に還る前の木の匂い。

人の気配の無い、これといった特徴も無い森に惹かれるのは、匂いに視覚を、触覚を、聴覚を支配されてしまったような感覚に満たされるからかもしれない。

私の先を走っては立ち止まり、きょろきょろと森の匂いを嗅いでいる犬は、少なくとも自分よりは森のことを知っているに違いない…。

ヘビヌカホコリの子実体の黄色。
倒木に広がる苔の緑。

森は鮮やかな生命の色に満ちていた。

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