「イトナミダイセン藝術祭2019」に来てくれた若い漁師さんに、網を仕掛けたので一緒に海に出ますか…と声を掛けて貰い、はやる気持ちを抑えつつ、まだ暗い道を夜明け前の漁港へと車を走らせた。山彦DNAの自分だからか。海の漁師という生き方は憧れ。その厳しさも苦労も知らない自分だからこそ、憧れなどと簡単に言えてしまうのかもしれないけれど、それでも、海の近くの町に来る度に漁港へと出掛けては、そこにある気配を感じるだけで、自分の内側に、普段はあまり感じることのない不思議な感覚が沸き起こる。イトナミダイセン藝術祭は、鳥取県および中国地方の最高峰である、大山(1,729M)の裾野にある、大山町長田地区で行われている藝術祭。主催者でもあるアートディレクターから、とにかく大山町に来てくれれば良いですから…と言われたことを良いことに、事前の勉強も準備もまったくしないまま此処へと来てしまった。フロントガラスの向こう側に日本海が見えるガガガ学校(旧長田分校)の前の広場で車中泊しつつ、太古の昔から大山の裾野で延々と育まれてきた人々の営みを想像しつつの日々。刻々と色を変える夜明けの海の美しさ。小さな漁船の上から見る大山の雄大さ。海と山は一つだということをこれ程に感じたことは生まれて初めてだった。
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