かつてこの国が経験した現実を受け入れることなしに、終戦という曖昧さと誤魔化しによってつくり出される空虚な現実。
かつて、フランスの思想家、ミッシエル・フーコーは、刑罰の様式は変化し、新しい権力作用が出現したと主張したが、これはすなわち、身体に対する刑罰の時代から精神に対する刑罰の時代へと移行したということであり、戦争という様式もまた変化したということなのだろう。
戦いによる勝者が専門家という科学的知見という権利を独占し、犯罪という狂気を規定し人間を評価することをつうじて世界を支配するという社会構造。
現代の戦争の本質とは既に人が殺しあうことではなく、精神的支配構造の確立にある。
戦いの勝者を称え、高らかに掲げられる国旗掲揚という儀式。
私たちの心の奥底には、未だ戦いは終わっていない、戦いを終わりにしたくないという火種が燻り続けているのかもしれない…。
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