「RIKI-TRIBAL S.A.W 的  秘密基地開放計画」

 
気が付けば随分と長く、ものづくりをしてきたものだ。
転がる石のごとく…とは言え、自分でつくること、つくり続けることだけはけっしてやめない、つくり続けるというわがままに、家族や友人を随分と巻き込んできた。
このくらいの歳になると、誕生日は嬉しいものではなく感謝する日なのだと少しは思えるようになってきた。
自分のものづくり人生を支えてきてくれた家族、そして友人には心から感謝を。
 
…にしても、つくることによって見えてきたモノやコトはあまりにも多い。自分のまわりは、つくっていなければ出会えなかったであろう人だらけだ。
3月。長く暮らした東京を離れ長野市に暮らしはじめてちょうど7年になる。
何か、時代が大きく動き始めている、変化しはじめていると感じるようになったのは、やはりあの日があったからか…長野市に暮らし始めて2年後のあの日。あれから5年。
とは言え、自分がしていることはそれ以前とさほど変わってはいない。
所詮自分は、つくることでしか考えられない、美術から離れられない美術馬鹿なのだとさらに強く自覚する今日このごろ。
 
長野に暮らし始めた当初。自分が生まれ育ったところとは言え、ここがどういうところなのか、ここの人たちがどういう人たちなのかが掴みきれず、暮らしてはいるものの、なんとなく自分は旅行者のような気がしていた。
最初はそんな旅行気分も悪くはないと思っていたものの、足が地についていないような、どこか体が宙に浮いたような状態は自分の精神に対してはあまり好ましい状況ではないな…と感じていた矢先の震災だった。
東京時代から、岩手に行くことが多かった自分は、震災後も岩手を中心に、東北に行くことが多かったのだが、目に見えて変化する被災地の姿とそう簡単には変化しない様々を感じることによって、自分がいま暮らしている長野がどういうところなのかも同時に、少しづつではあるけれど見えてきたような気がする。
 
そして、いま自分がここ…長野に暮らしながら思うことは、長野が急速に都会化している…ということ。
それが悪いとか良いとかではなく、自分が思う都会化とは言葉にするとすれば、二極分裂を繰り返しているということ。
以前は、東京が都会で長野は田舎だったものが、長野の中が都市と田舎になり、さらに都市も田舎も分裂を繰り返しながら次第に細分化され続けてゆくような…。
こうした流れや傾向は、全国各地の中心市街地が空洞化し始めた、30年以上前、日本の高度経済成長期から始まっているとは言え、東日本大震災を機に急速に加速したと思うのは自分ではないはずだ。
 
世の中が変化してゆくのは必然。そして、どんなものも永遠には続かない…。
例えば、いわゆる山村が過疎化、高齢化している状況もある意味では必然、私たちが求めた便利さが結果としてこうした状況を招いたとも言える。
問題の本質は、山村の人口減少問題をどうするのかでは無く、とめどもなく便利さを追い求め続ける現代日本人の暮らしのあり方なのだ。
かつての山村に人がたくさん暮らしていたのは、人々が求める便利さを山村が満たすことができていたから。
いま、そして今後、山村は人々が求める便利さを満たすことができるのだろうか。満たそうとするのだろうか…。
いま私たちが最も考えなければならないことは、私たちが求める続ける便利さとはいったい何かということ。そして、その便利さを得る変わりに私たちが失ってきたものは何であるのか…ということではないのだろうか。
そこを蔑ろにしたまま、例えばそれが山村の人口減少問題だとして、対策は何も講じられないと自分は思うのだが…。
 
美術馬鹿の自分は、何かをつくることでしか考えることができないが、でも、そのおかげで、材料を自分の手でさわり、自分の手が何ができて何ができないのかを知ることができている。道具は便利だけれど、道具を使い過ぎると美しさは途端失われてしまう…。
手でものをつくることによって、便利さとは一体何なのか、便利さによって失うものは何であるのかを感覚として感じることができている、そんな気がする。
 
この世にあれど、目には見えないものを感じることができなければ、人の便利さに対する欲望はいずれこの世のすべてを破壊しつくしてしまう。
それを少しでも食い止めるために美術馬鹿の自分にできることがあるとすれば、いままでさんざん、様々な素材に触れてきた経験を、それを必要とする人に伝えつつ、自分でつくるために必要な場と機会をつくることぐらいではないかと思うのだ。
 
そこで、RIKI-TRIBAL S.A.Wの秘密基地のような工房や倉庫。そして、いままでものづくりをつうじて身についたわずかながらの技術や情報を、開放すべく準備をはじめました。
とは言え、どのように開放し、展開してゆくのが良いのか、スーパースローリーな自分一人だけではなかなか開放計画は前には進みません。
この計画にご興味ある方のご協力を是非お願いします。
ものづくりが好きな人たちが増え、たくさんの気付きのきっかけになればと思います。

12801277_879375218848798_6293240415163486065_n

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です