店舗の制作に新潟県佐渡市に来て半月。
日の出時刻は04:36AM、経度は長野市よりもほんの僅か東で3分ほどの日の出の時間差は感覚的にはまったく感じない。同行のお守り犬・Rainは日の出前からソワソワし始め日の出と共に起こされる。
長野市から直江津港まで1時間15分、直江津港からフェリーで佐渡市小木港まで2時間40分、合計約4時間。仕事柄、自動車+高速道路利用の移動が多い自分にとって、長野~東京間が約3時間強であることからすれば時間的には大した違いもないものの、ここが島であるということが意識に対して強く影響しているようだ。
近くて遠い。良くも悪くも、ここが島であることを思わない日は無いけれど、考えてみれば、日本という国が四方を海に囲まれた島国であるとは言っても、日常、自分が島に暮らしているという感覚は殆どない。
この地球上の大陸はすべて海に囲まれていることを思えば、人間はすべて海に囲まれた島の住人であるのに。
海と山は繋がり合うことによってその自然が保たれている…ことは誰もが知っていることとは言え、そういった事実を実感出来ているのかと言えば、その感覚は極めて薄い と思わざるを得ない社会。
環境保護だとか、SDGsだとか…そういった言葉が声高に叫ばれるようになっているのも、現代に至る社会システムが意識的に海と山を切り離すことによって成立しているからに他ならない。
塩が必要であれば塩さえあれば良いのであって、それが何処で、誰がつくっていようが構わない。
〇〇産の魚は高値で取引されているだけで、その魚が採れる海や川まで知る必要がない。
そうした社会を実現させる仕組みが流通であり、流通の仕組みは全国隅々、世界中に張り巡らされている…。
それが“現代の便利さ”ではあるのだけれど、佐渡島に来てから、近くて遠い。良くも悪くも、ここが島であることを思わない日は無い…のは、そうした現実とこの島の在り様が、良くも悪くも重なって見えるからだ。
新潟市の西方約45㎞、本土との最短距離役32㎞の日本海に位置する孤立大型離島。
いまから50年前に92,000人だった人口は現在約5万5千人、毎年約1,000人の減少傾向にあるのだそうだ。
家から海までの間を散歩しているだけでも随分と空き家が目立つ…。
佐渡で捕れた魚は佐渡産と呼ばれ、高値で取引されるのだそうなのだが、ここ佐渡では、佐渡産と表示される魚はほんの少ししか売られていない。
歴史と文化の島、佐渡、佐渡金山を世界遺産に! …という看板があちらこちらに立っている。
…。
かつて全国各地で起こった一大観光ブームの頃、
「その昔(50年前ぐらい)は、島の中を観光バスが何十台も走っていたんだ。東京から沢山の人が佐渡に来ていた。金山がもしも世界遺産になったとしても、2~3年続くかどうかぐらいじゃないのかなぁ…難しいね…。」と、地元の人は言う。
佐渡の最高峰(1,171M)金北山の西隣の妙見山(みょうけんさん・標高1,042m)山頂には、日本海全域を監視する自衛隊のレーダーサイト…通称:ガメラレーダーと呼ばれる巨大なレーダーが設置されている。
散歩していると、大きな樹木がそこかしこにあって、いつもどこかしらから鳥の囀りが聞こえてくる。
国際保護鳥、朱鷺(トキ)の数を増やすために、佐渡の水田全域では減農薬の取り組みを推し進めていて、畦道では除草剤の使用は極力しないようにしているのだそうだ。
そのこと自体は歓迎すべき取り組みであると思いながらも、縦横に区画整備さあれた広大な水田のを眺めながら、そもそも朱鷺を絶滅に追いやっておきながら…と思う自分。
佐渡では500羽の朱鷺が既に野生化しているそうなのだが、ちょうどいまが繁殖期にあるそうで、未だ野生の朱鷺の姿を見ることは出来ていない。

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