まだ長野市が帰省先だった頃。
飯綱高原の森の中にある小さなカフェに入った。
その頃はちょうど真冬で、あたり一面雪景色の中にひっそりと佇むその小さなカフェがある風景は、どこか別の国…北の国のようでもあった。
長野市内では雪が積もったとしてもせいぜい30cm程度しか積もらない。
季節の中で冬が一番好きな自分としてはこの積雪量はもの足りない…あたり一面が雪景色で家が雪に埋もれて見えるか見えないかぐらいがイメージ的にはちょうど良い…そこには雪に悩まされる苦労を差し引いてはいるけれど…。
人が暮らすためには雪は大きな脅威となる。除雪の苦労は半端なく、その作業がどんなに辛いかも一応は心得てはいるつもりだが、それでも私は、雪が降り積もった時の静けさは、この世においてなにものにも代えがたい貴重な時間だと思う。
あの時間こそが、全ての生命が本来の輝きとり戻す時間…眠りの時間 なのではないかと私は思う。
そのカフェには小さなカウンターがあって、帰り際、そのカウンター越しに会計を済ませる時、「たぁくらたぁ」という薄い本が置かれていることに気が付いた。
「たぁくらたぁ」とはアホとかおバカさんを意味する信州の方言。
当時私たち家族は、東京の西側の国立市という小さなまちに暮らしていたのだけれど、その国立市周辺には米軍基地や自衛隊基地が多数あったことや、一ツ橋大学をはじめ、大学施設がたくさんあったことも影響してだろう…反戦や平和に関する市民運動をはじめ、様々な市民活動が活発で、そういった地域が育む気風は、20歳から40歳すぎまでを国立市で暮した私に対して少なからずは影響したであろうことは否めない。
たぁくらたぁ という雑誌をはじめて目にしたあの時…
「この手の本がなんで長野から?…」と思っていただけぐらいだったけれど、その後、私たち家族が長野市に移り住むことになり、相も変わらず、たぁくらたぁな私と雑誌 たぁくらたぁ は、意外と早くつながることになった。
編集長から、寄稿してみませんか?…というお話しを頂き、それを断る理由も無かったし、二つ返事で寄稿させていただくことにした。
…と言うよりは…。このところずっと…自分の中にもやもやとしている何かを、表現させてもらえるきっかけを頂けたことに感謝したい。
『たぁくらたぁ』への寄稿は、ロケットストーブ覚書 その1 として書かせて頂いた。
ここ数年の自分の思考にとって重要な存在であるロケットストーブ。
このロケットストーブ=Rocket Stoves の Stovesは英語で調理器具のこと。
ここ数年のあいだ、日本国内でもロケットストーブという名称が随分と知り渡った。
しかし、知られるようになればなるほどに、私を魅了するロケットストーブであることの役割は希薄になってしまってきているような気もする…。
それはなぜか?
10月11日発売
信州発*産直泥つきマガジン『たぁくらたぁ』最新刊(31号)
特集は、「福島に生きること」
この『たぁくらたぁ』には、福島県大熊町から白馬村へと避難し、新しい暮らしを築くために古い宿を改修している木村紀夫さんも寄稿している。
今回、私が「ロケットストーブ覚書 その1」を寄稿するにあたり、編集長から木村さんを紹介して頂いた。
信州の冬は長く寒い…。
その長く寒い信州をあえてこれからの暮らしの場として選んだ木村さん…。
「木村さんの宿づくりをつうじて、これからの未来をみんなで考えるための何かができないだろうか?」という編集長からの相談を受け、ロケットストーブのワークショップを開催することとなった。
これについての詳しくは、別にFB投稿するつもりだけれど、
東日本大震災、そして、福島での原発事故後を生きる私たちができることは何か…を考えるための場づくりを始めるためのお手伝いができることをとても嬉しく思っている。
とはいえ、私の心の中には今もずっともやもやとした何かが立ち込めたまま。
私にとってのこのもやもやは、震災や福島原発事故以前からのものであるとは思うのだけれど…。
それでも、私たちは、いろいろあっても共に歩きはじめなければならない と思う。
※以下、ワークショップの告知です。
◆◆ロケットストーブ ワークショップ◆◆
「いろいろあっても 共にあるきつづける」
ロケットストーブとは、木が燃えるときに出る煙を、もう一度燃やすしくみのこと。
そこにある材料で、そこにいる人たちが協力し合いながらつくります。
3・11の津波で家族を失い、福島第一原発の事故によって福島県大熊町から白馬村に避難してきた木村紀夫さんは、新しい暮らしを築くために白馬で古い宿を改修してオープンします。
これからの社会を持続可能にするために、私たちには何ができるのか。木村さんが始める宿「深山の雪」も、この目標へ向かいます。
ワークショップは、ロケットストーブが登場した背景に目を向けながら、最近注目されつつあるウッドガスストーブ「TLUDストーブ」を各自でつくり、木村さんの宿を持続可能な場にしていくための可能性をみんなで話し合って探ります。
日時:10月26日(土)
第1部 13時~16時
ストーブづくり、宿の構想づくり(コーディネーター・小池雅久)
第2部 16時30分~19時
いっしょにTLUDで夕食づくり、夕食
第3部 19時~21時
木村紀夫さんの話と宿のビジョン
場所:深山の雪(白馬村北城落倉14718-229 電話090-3644-8722)
参加費
第1部 \1500 (TLUDストーブの材料費込み)
第2部 ¥1000 (夕食代)
第3部 無料(ここから参加する人は500円)
宿泊 無料(相部屋)
●すべて要予約(定員は20人くらい)
主催 持続可能な宿づくり応援団(『たぁくらたぁ』編集部&小池雅久)
※予約受付:026-225-9380(応援団事務局 カフェマゼコゼ)
連絡先 080-5147-0019(野池)
090-8505-1280(小池)
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