遺伝子

事も無げに今年が訪れ、ようやく息苦しさから解放された安堵を感じるほどに雪は無く 冷え込みも無く。

遺伝子プールに蓄えられた遺伝子は振動し始める。
私はいまどこにいるのか
その確認は急がねばならない 冬が終わる前に。

冬好き ことさら朝起きると雪掻きをしなければならないほどに雪が積もっているような朝が良い。
考える必要の無い 遺伝子の振動する瞬間。
無口な老人の口元が僅かに微笑む あの冬の朝。

いったいこの世の基準とは何であるのか。
美しさとは遺伝子プールの底の 薄く何層にも重なりあった色具合。
切り取ることも、掘り起こすこともできはしない。
糸の先に石の重りを結びつけ、どんなにそっと降ろしてみたところで、
あの薄い層の重なり具合は測れない。

黒い肌の上の赤 雪と氷の上の赤

生きることを 死ぬことを

想え
表せ

山の頂きに立ち
矢を放て

Mountain tribes without borders
ROCK
2014

 
 

Photography Jimmy Nelson
http://www.beforethey.com/

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