鍛冶仕事を教えてくれた友人が死んだ。
熱く赤い鉄が冷めてしまったかのような柩の中の亡骸。
火葬炉の中へ柩が入るまでを見送った。
きっと、彼はまた炉の中で鉄のように赤くなる。
生命とは赤なのだと思った。
 
私は今も、彼のいないこの世に生きている。
きっと彼も考え続けていたであろうことを考えながら。
 
生命を宿しこの世へと生まれたものが、この世の生命を喰らう
それが自然。
喰らうのは、生きるためか、死ぬためか。
殺すのは喰らうため。
それが自然。
喰らわぬなら、殺さない。
それが自然。
生命を生かす。
それが自然。
自然に生きて自然に死にたい。
 
この世に生きた生命が、
雪の上に少しだけ
赤を描いた。

 
 

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